
PROFIS エンジニアリング ソフトがプレートの剛性を考慮する理由について

1.Introduction はじめに
構造物は多くの場合コンクリート基礎を介して地面と接合しています。構造物に掛かる荷重を伝達するには梁、柱などをコンクリート基礎に接合する必要があります。一般的な方法の1つとしてベースプレートに溶接された鉄骨をアンカーで固定する方法があります。鉄骨造を設計する場合、設計者は梁や柱などの骨組みを優先しますが、ベースプレート、アンカー接続、溶接継手など、設計が困難な場所も存在し、構造設計において注意が必要です。ベースプレートとアンカーは、鉄骨構造設計、アンカー設計、コンクリート設計などの設計要素が関わっており、それぞれの設計に矛盾を生じさせない必要があります。主な例として鉄骨構造とコンクリートの接合部はベースプレートの挙動を考慮する必要があります。欧州の設計コードEN 1993-1-8 [1]などではコンポーネントメソッド(構成部材解析法)と呼ばれる解析法により、ベースプレートの典型的な形状と単純な荷重の算出を行います。ここ数年、有限要素法(FEM)は構造力学に革命をもたらしており、現在、多くの技術者はFEM解析ソフトを使用しています。従ってFEM解析でベースプレート、コンクリート、アンカーをモデリングする設計者が多くなっていますが、多くのアンカーの設計ガイドラインは剛性ベースプレートに基づいています。
ここでは、ヒルティの PROFIS エンジニアリング ソフトウェアの剛性・非剛性のベースプレート設計に関するいくつかの定義について紹介します。
1.1 Component-based Finite Element Methodコンポーネントベース(構成部材に基づいた)有限要素法
鉄骨造とコンクリートの接合部の実際の挙動は単純な梁接合の構造計算では解決できません。コンポーネントメソッド(CM:構成部材解析法)は接合された部位同士を一体化し、接合部の解析を行います。そのモデリングは各構成部材に掛かる外力と応力を決定できるよう接続の種類ごとに構築されます – 次の図を参照してください。
コンクリートは圧縮ばねでモデル化され、アンカーは引張りばねでモデル化され、鋼材は面として扱うシェル要素で定義されます。それぞれの構成部材の機械的特性は、コンクリートの場合欧州規格EN1992、鋼材の場合EN1993、そしてアンカーについてはヒルティが実験室で行った試験データによって定義されています。各構成部材の応力は、欧州の設計基準を使用して個別にチェックされます。PROFISエンジニアリングがベースプレートの実際の動きをシミュレートするために使用する方法は、コンポーネントベース(構成部材に基づいた)有限要素法(CBFEM)です。特徴として
- 接合設計エンジニアリングに非常に一般的
- 従来の方法と比べ簡単で速い
- 構造エンジニアに、個々の構成部材の接続部の挙動、応力、ひずみなどを全体的な安全性と信頼性とともにわかりやすく提供できる
コンポーネントベース(構成部材に基づいた)有限要素法(CBFEM)は、実績があり信頼性のあるコンポーネントメソッド(CM:構成部材解析法)の考えに基づいています。CMの弱点(一般的な個々の構成部材の応力分析しかできなかった)は、有限要素法(FEM)を使用しモデリングと解析を行うことにより解決されます。
1.2 Rigid base plates: problems when designing base plates today 剛性ベースプレート:現在のベースプレートを設計する際の問題
ETAG / EN / ACIなどの欧米のガイドラインにある剛性ベースプレートの定義は技術者にとって通常最優先事項ではありませんが、アンカーについてのガイドラインは剛性ベースプレートに対してのみ有効です。しかしベースプレートを剛体と見なす明確な定義はありません。現在のアンカー計算ソフトはアンカーの荷重計算について行いますが、これらの計算の背景については明確ではありません。
非剛性ベースプレートへの主な影響:
- 圧縮と引張の応力中心間距離の減少。 ベースプレートが非剛性の場合は、ベースプレートに生じる圧縮と引張の応力中心間距離が減少します。特に注意すべき点は、ベースプレートが非常に薄い場合、圧縮の中心がH鋼の圧縮側のフランジの下に来る可能性がある場合です。圧縮と引張の応力中心間距離が減少すると、アンカーに掛かる荷重が増加します。
- ベースプレートのはらみの影響。 ある種の形状の非剛性ベースプレートの場合、はらみ変形が起きる場合があります。これらの力は、ベースプレートの引張力あるいは曲げモーメントから生じるアンカーへの荷重を増加させます。
- アンカー群内の異なる荷重分配。非剛性ベースプレートを介して留め付けられた複数のアンカーの距離が異なる場合、個々のアンカーへの荷重分配は異なります。例として1列に3本留め付けられたアンカー配置では、ベースプレートが非剛性の場合、3本のアンカーの中央に位置するアンカーは、外側のアンカーよりもはるかに多くの荷重を受けます。
- コンクリートへの応力分布の変化。非剛性ベースプレートの場合、圧縮応力はプレートの下に集中します。これにより、コンクリートへの応力が高くなります。
- 片持ち梁の場合、非剛性であるベースプレートは回転量が増すため、片持ち梁の変位が大きくなります。
部材への荷重とアンカーの配置に応じて、先に述べたこれらの影響のなかの1つ、あるいは複数が作用し、
アンカーへ掛かる荷重も変化します。